新聞記事 2005年

2005/10/12 水俣の産廃計画「公開討論会を」 反対団体が市に文書=熊本 【読売】

水俣市で民間業者が計画している産廃最終処分場建設に反対する「水俣の命と水を守る市民の会」(坂本ミサ子代表世話人)が11日、江口隆一市長に公開討論会の開催を改めて求める申し入れ書を市環境対策課へ提出した。
 市民の会は6月に公開討論会を申し入れたが、江口市長は7、8月に行われた「市長と語る地域懇談会」などによる多忙を理由に、「日程的に時間が取れない」として断っていた。懇談会終了後、市民の会は口頭で申し入れを行ったが、正式な回答がないとして改めて文書で申し入れた。
 計画を進める「IWD東亜熊本」に対しても住民説明会の開催を求める要望書を送付。それぞれ20日までの回答を求めている。

2005/10/20 産廃場の特報問題 市長あてに抗議文、反対派3団体=熊本【読売】

 水俣市で民間業者が進めている産廃最終処分場建設計画について特集した市の広報特報版(1日付)に問題があるとして、計画に反対する「水俣を憂える会」(坂本龍虹会長)、「本願の会」(浜元二徳会長)、「水俣の命と水を守る市民の会」(坂本ミサ子代表世話人)が19日、江口隆一市長あての抗議文を3団体の連名で市福祉環境部に提出した。
 特報版は、市議会が許認可権を持つ潮谷知事に「住民の意向の尊重と地域性を考慮した決定を」と要望した際、知事が「法の要件を満たせば許可することになる」などと述べたと紹介。また、市の見解として「建設予定地の買い上げによる阻止も絶望的」としている。
 3団体は抗議文で、市民の圧倒的多数が反対の署名をしているのに、処分場設置は既定の事実と思わせるような特報版をなぜ出したのかなどと反発。市長に対し、建設反対の先頭に立って指揮を執るよう求めている。

2005/10/24 「水俣に産廃場反対」支援を 作家の石牟礼さんら、海外メディアに声明=熊本【読売】

 水俣市南部の山林で民間業者が計画している産廃最終処分場問題に関し、「苦海浄土」などで水俣病の悲惨さを訴えてきた熊本市在住の作家石牟礼道子さんら3人が、建設反対の支援を求める緊急声明を在京の海外メディア23社に送った。
 声明は、石牟礼さんと、水俣病認定患者や支援者らで組織する「本願の会」の緒方正人副会長、宮北隆志・熊本学園大教授(水俣学現地研究センター長)の連名。
 声明は20日付。「公害の原点」といわれる水俣病問題で苦しんできた水俣の歴史を紹介したうえで「山の水が汚染されたら第2の悲劇を生む。なぜ、世界的に環境汚染の象徴となった水俣市に最終処分場が建設されるのか」と疑問を投げかけ、建設反対の支援を求めている。
 石牟礼さんは「産廃場には公害の不安がつきまとう。環境問題を考えるすべての人の気持ちを世界に訴えたい」と話していた。

2005/11/11 水俣の産廃処分場計画 事業者が住民説明会=熊本【読売】

 水俣市南部の山林で産廃最終処分場建設を計画している民間事業者「IWD東亜熊本」(本社・水俣市)が9日夜、市文化会館で事業計画説明会を開いた。会社側は「公共に寄与する施設にしたい」と強調したが、反対派は「水俣病で苦しむ水俣に産廃処分場はいらない」とあくまで反対する姿勢をみせた。
 昨年3月に計画が明らかになって以降、予定地周辺を除き、初の住民説明会で、約180人が参加した。
 小林景子社長は「水俣のつらい過去を考え、日本一完ぺきな安全確認ができる施設にすることを誓う」と住民感情に配慮した発言もした。しかし、会社側が質問を書面に限ったため、「水俣の命と水を守る市民の会」など反対派3団体が「誠意がない」と反発。「なぜ水俣に造るのか」などとした公開質問状を提出し、「この場で回答を」と会社側に求める場面もあった。
 計画によると、同社は総敷地面積95・2ヘクタールの山林内に、埋め立て面積9・5ヘクタールの管理型処分場「クリーンサイト」を建設し、燃え殻や汚泥などを処分する。埋め立て期間は15年。がれき類などを埋める安定型の建設は中止した。
 
 写真=小林社長(左)に詰め寄る建設反対派の市民

2005/11/15 水俣の産廃場計画 説明会中止勧告撤回を 反対団体、市長に抗議文提出=熊本【読売】

 水俣市で民間業者が計画している産廃最終処分場建設に関し、反対派の「水俣の命と水を守る市民の会」(坂本ミサ子代表世話人)が14日、江口隆一市長に対して抗議文を提出した。市民の会が同処分場について開催している「現状説明会」が、市から中止勧告を受けたことに対して、勧告の撤回を求めている。
 市民の会は2日から12月10日まで、市内43か所で独自の説明会を開催中。奈良県天理市の反対運動のビデオを流した後、参加者と意見交換している。
 市は、この説明会の案内を1日付の広報紙に掲載したが、「会場で政治活動の場ととらえられる言動があり、広報は偽りの内容だった」として、4日付で総務課長名の中止勧告を通知した。江口市長は「反対運動の看板を掲げながら(来年2月に任期満了を迎える)市長選の選挙運動をしており、疑念と怒りを感じる」と話している。
 選挙運動と指摘された市議は、「産廃(の建設)をやめさせるには市長を交代させるしかない。市長選の立候補を要請している人がいる」などと述べたことを認めた。発言は説明会の最後の2分ほどだったという。
 市民の会はその後も説明会を続けているが、「勧告を受けたままでは市民の混乱を招く」とし、撤回を申し入れたとしている。


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